うきくさ (浮草) 

学名  Spirodela polyrrhiza
日本名  ウキクサ
科名(日本名)  サトイモ科
  日本語別名  
漢名  紫萍(シヘイ,zĭpíng)
科名(漢名)  天南星(テンナンセイ,tiānnánxīng)科
  漢語別名  萍・苹・蓱(ヘイ,píng)、水萍(スイヘイ,shuĭpíng)、田萍(デンヘイ,tiánpíng)、
蘋(ヒン,pín)
英名  Greater duckweed, Common ducksmeat
2006/08/19 小平市
 小さいほうは、コウキクサ

 ウキクサ属 Spirodela(紫萍 zĭpíng 屬)には、熱帯~温帯に約4種がある。

  ウキクサ S. polyrrhiza(紫萍)
   
 サトイモ科 Araceae(天南星 tiānnánxīng 科)については、サトイモ科を見よ。
 萍・苹・蓱(ヘイ,píng)は同音同義、ウキクサ類の通称。
 蘋(ヒン,pín)はデンジソウの意だが、古くから萍(ヘイ,píng)に通じて用いられる。
 漢名を浮萍(フヘイ,fúpíng)というものは、コウキクサ
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)蓱に、「和名宇岐久佐」と。
 源順『倭名類聚抄』
(ca.934)蓱に、「和名宇木久佐」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』15(1806)水萍に、「カゞミグサ
古歌 タネナシ ナキモノグサ倶ニ同上 ウキクサ ドンスガヘシ丹波 タツナミサウ紀州」と。
 広く全世界の熱帯から温帯の淡水に分布。
 中国では、コウキクサ(浮萍,フヘイ,fúpíng)及びウキクサの全草を浮萍草と呼んで薬用にし、アヒル・ブタの飼料にし、水田の肥料にする。『中薬志Ⅲ』pp.154-157 
 『礼記』「月令」三月に、「萍(うきくさ) 始めて生ず」と。
 『大戴礼』「夏小正」七月に、「湟潦(くわうらう。水溜り) 苹(へい)を生ず。
〔湟は下がる処なり。湟有り、然る後に潦有り。潦にして後に、苹草有るなり。〕」と。
 『爾雅』釈草に、「萍(ヘイ,píng)、蓱(ヘイ,píng)。〔水中浮蓱。江東 之を薸(ヒョウ,piáo)と謂ふ。○苹(ヘイ,píng)、音は平(ヘイ,píng)。蓱、音は瓶(ヘイ,píng)。薸、音は瓢(ヒョウ,piáo)。〕 其の大なる者は、蘋(ヒン,pín)。詩に曰く、于以采蘋と。〕」と。
 日本では、『古今和歌集』に、

   うき草の うへはしげれる ふちなれや ふかき心を しる人のなき
 (よみ人しらず)
   たぎつせに ねざしとゞめぬ うき草の うきたる恋も 我はするかな
 (壬生忠岑)
   わびぬれば 身をうき草の ねをたえて さそふ水あらば いなんとぞ思ふ
     
(小野小町「文屋のやすひでが みかはのぞうになりて、
         あがたみには えいでたゝじやと いひやれりける返事によめる」)

   水のおもに おふるさ月の うきくさの うき事あれや ねをたえてこね
     
(凡河内躬恒「ともだちの ひさしうまうでこざりけるもとに、よみてつかはしける」)

 『亭子院歌合』
(913.3.13)

  夏の池に よるべ定めぬ うき草は 水よりほかに すむ方ぞなき
 (藤原興風)
  咲く花の 散りつゝ浮ぶ 水のおもに いかで浮草 根ざしそめけん
 
 西行(1118-1190)『山家集』に、

   月のため みさびすゑじと おもひしに みどりにもし
(敷)く 池のうき草
 

   うきくさも沈むばかりよ五月雨
(さつきあめ) (蕪村,1716-1783)
 
 
  目の前に川平明
(へいめい)に見え居りて青浮萍(あをうきぐさ)も水泡(みなわ)も逆流す
     
(1938「六月二十五日」,齋藤茂吉『寒雲』)
 

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